中宮さんのビタミン・エッセイ新シリーズが始まりました。中宮さんはIT企業の代表取締役会長を努めつい最近相談役に就任したばかりです。長年リーダーシップを発揮され、混迷の時代を乗り越えてきました。今、経営の一線から退かれ、趣味のひとつであるスキューバダイビングと沖縄の海をこよなく愛し、自然と人間の関わりそしてご自身との関係を改めて考えてみたいと思っています。新シリーズ「海と世界と人間と」は、皆さんと共に“自然とご自身を考える旅”のエッセーとして、どうぞお楽しみください。

石垣島で過ごした日も終わりに近づき最後にチーム勝山全員で記念ダイビングに臨む事になりました。今回は6年前に台風で潜る事が出来なかったマンタスクランブルで有名な川平です。6年前といえば私はまだダイビングを始めて日も浅く、仲間を作りたい想いからWEBの掲示板に参加するようになり、そこで知り合ったのが、勝山のパートナーである女神様であったのです。アバターの名は「うらら」とか「竜宮城の乙姫様」などと呼ばれていたのですが、その他に多くの仲間が出来、その関係から勝山が主宰するファンダイブに参加するようになったのでした。石垣でガイドを始めた小田も、やはり同じ掲示板で知り合った仲間の一人でした。
先にも述べたのですが石垣の海に絶望した私は、未だに石垣島に対する不信感を拭いさる事が出来ずにいました。勝山も言っていたのですが、石垣島周辺の海に限らず今、世界の海は20年前に比べると地球温暖化のせいもあり、サンゴの数は激減していると何度も聞かされたものです。確かにその言葉に偽りはなく、がれ場と化した水中に広がる地形を見る限り、希望の無い地球の未来を見ているようで愕然とし、余りの恐ろしさに身震いするばかりです。
記念ダイブの当日は海況も良く、川平湾に無事辿り着く事が出来ました。マンタスクランブルではマンタの優美な舞も堪能出来ました。マンタスクランブルを離れ水深およそ40メートルはありそうなドロップオフの中層を移動した時、私は初めて石垣島の海に奇跡を見たのです。それはサンゴの生息域を遥かに超えた深場までサンゴの群生が確認された事です。透明度の良さも手伝い、眼下に広がるカラフルなサンゴの群生が水底まではっきりと確認されました。これは奇跡としか例えようがないほどの衝撃となって私に迫ってきました。私は長い間石垣の海に絶望してきたのですが、石垣の海の偉大さと懐の深さを改めて知った次第です。更に北部の海には広大なサンゴの群生が確認され、サンゴを拠り所にする魚達の元気な姿が見られるそうですが、この美しい沖縄の海が海洋汚染や地球温暖化の犠牲にならないよう祈りつつ石垣島を後にしたのでした。
最後に勝山は今後もトライアスロンにチャレンジすると言っていました。今年は宮古の鉄人レースに参加が決まっていますので、応援宜しくお願いいたします。
残念ながら今回で心のビタミンでの連載は終わりになってしまいます。タイトルが「海と世界と人間と」であるにも関わらず沖縄編だけで終わってしまうのは非常に残念ですが、沖縄の海には世界の海が全てあると云われるほど、水中の世界は豊かで変化に富んでいる事は間違いなく、私はこれからも沖縄の海を愛し続けるでしょう。 (完)
2011年2月17日 脱稿
■編集者からのお知らせ■
沖縄の海を舞台に自然と人々との関わり合いを問うてきた今作品。人と自然の未来にかすかな不安と危惧を感じている筆者とその沖縄の海に、生きる再生の道を求めて挑んだ人と心あたたかい周囲の人々との姿を6回シリーズで寄稿していただきました。残念ながら今回で最後となりました。「読書雑感」そして今シリーズ「海と世界と人間と」を書き続けてくださいました筆者の中宮希史さんには心から厚くお礼を申し上げるとともに、これまでご愛読くださいました多くの読者の皆さまにも深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。