苫小牧駒澤大学に設置されている「環太平洋・アイヌ文化研究所」は、日本の先住民族であるアイヌ民族の文化を、広大な環太平洋諸地域の先住民族文化とあわせて、学際的かつ比較文化的に調査・研究することを目指す、全国でも類をみないユニークな研究機関です。苫小牧駒澤大学の開学(1998年)と同時に開設されて以来、さまざまな分野で実績を積み重ねています。

 苫小牧駒澤大学は、「アイヌ・モシ」=北海道の胆振・日高地方に位置する唯一の四年制文科系大学です(国際文化学部・定員600人)。胆振・日高地方には、全アイヌ人口の約 7割が住んでいるといわれ、白老町・平取町・むかわ町・静内町など、アイヌ伝統文化の息吹きを今に伝える土地がいくつも存在しています。この地域で年間行われるアイヌ伝統儀式は優に40を数えます。大学の周囲には、かつてアイヌ民族の伝統的な暮らしを支えてきた山や川、海などの豊かな自然環境が広がっています。
 また、苫小牧駒澤大学の位置する石狩・苫小牧低地帯は、先史時代から北海道の重要な交通ルートであり、北方ユーラシア文化や南方の和人の文化など、多種多様な文化が流れ込む、異文化交流のクロス・ロードでした。
 加えて、苫小牧市の東隣に位置する厚真町は、アイヌ文化に関わる豊かな発掘調査の成果によって、近年各界からの注目を集めています。
 まさしくこの地域は、長い年月をかけてアイヌ民族の歴史と文化をはぐくんできた舞台だったのです。

世界各地の先住民族・少数民族を研究する専門スタッフ 
 環太平洋・アイヌ文化研究所には、苫小牧駒澤大学の教員を中心として、アイヌ文化のほか、環太平洋諸地域(北東アジア、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ポリネシア・ミクロネシア・メラネシアなど)を専門分野とする所員・研究員が所属しています。
 それぞれの先住民族の文化や歴史、法律や政治・経済など、さまざまな視角から調査・研究をおこない、またそれらの比較を通した横断的・総合的な考察にも取り組んでいます。
研究成果の公開
 毎年の研究成果は、定期的に開かれる研究例会や公開シンポジウム、研究所の機関誌『環太平洋・アイヌ文化研究』(年一回刊行)などで公開されています。全国各地や海外から第一線の研究者を講師に招いて、講演会・研究会も開催しています。

伝統舞踊や歌・音楽の普及事業
 研究所では、アイヌ民族の伝統舞踊や歌謡・音楽の公演を積極的に開催しています。
 自らの文化に誇りをもち、受け継いでいこうとするアイヌ民族の人々と協力しながら、この地域の貴重な文化財産であるアイヌ伝統文化の継承に貢献していくことは、研究所にとって大きな責務のひとつです。
世界の先住民族相互の交流を推進
 歴史的に類似した境遇に置かれ、多くの共通する問題を抱える世界各地の先住民族にとって、相互に交流を深め、お互いの経験や情報を交換することは、重要な課題です。
 研究所では、オーストラリアのアボリジニー、ニュージーランドのマオリ、ロシアのナーナイ、カナダ東部の先住民「シックスネーションズ」など、海外の先住民族を招いたり、こちらから訪問したりと、各種行事を企画しています。市民が世界の先住民族文化に身近に触れる機会を作るとともに、アイヌ民族と他の先住民族の交流の進展に努力しています。
  
アイヌのことばと文様を次代に受け継ぐ
 北海道の地名のほとんどは、アイヌ語に由来するものだということをご存知ですか。民族独自のことばや文様・装飾には、それぞれの民族の歴史や誇りが込められています。研究所では、アイヌ文化への理解を深め、同時にこれらの文化を次の世代へ継承していくために、無料でアイヌ語講座・アイヌ刺繍講座を開催し、学生だけでなく市民からも好評を得ています。
           

○沿革

○事業1:先住民族文化の調査・研究

○事業2:先住民族文化の振興

○環境

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