読書雑感

このコラムは、企業経営者、団体のリーダーなどの方々にご登場をいただき、読書を基本軸に仕事や生活、文化、芸術、経済、哲学、を語って頂くコラムです。さて第12回目の今回は、札幌・北海道のITの歴史の中で、道内IT企業発展に中心的な役割を果たしてきたNPO法人札幌ビズカフェで事務総長としてご活躍を続けておられる湯谷偉男さんの<「がんばらない」精神でがんばろう!>後編です。江戸っ子の筆者湯谷さんは、きたみ東急百貨店の開業とその後を常務取締役店長として過ごし、のちに、さっぽろ東急百貨店取締役店長として活躍をされてきました。これらの貴重な経験から、多くの人との縁を得、実に多くのことを学んだそうです。とりわけ自分の立場や意見と対立する人々からは、知恵と工夫と創造性が鍛えられ、自己改革へのきっかけになったそうです。
さあ、後編をどうぞお楽しみください。
次回の「読書雑感」は、トヨタカローラ札幌(株)代表取締役社長の柿本 純さんの予定です。
■第12回 「がんばらない」精神でがんばろう!(後編)

NPO法人札幌ビズカフェ・事務総長 湯谷 偉男さん もう一つ、きたみ東急百貨店創業時の忘れられない想い出がある。
各商店街の理事長の一人の方は「東急のやること・・・なんでも反対」と言う姿勢だった。
ほとほと困りはてたが発想を転換し、いつの日か、この地を去る時に「お前も良くやったよな」といってもらえるように頑張ろうと意識を変えたら、すうっと気持ちが楽になった。
時がたち開業して6年後、さっぽろ東急百貨店に赴任する際にご挨拶に伺ったが「いろいろあったけど君もよくやったな」といわれた時、思わず心の中で「やった!」と叫んでいた。やはり何事も粘り強くやらないとダメだということを教えられたように思う。

 更にもう一つ、私の印象にのこっているものは、創業時の記念品として川上澄雄先生から「海内無双の薯版画家」と謳われた香川軍男先生の薯版画を創業時の東急グループの記念品として使っていただいたことも大切な想い出であり、大切な一冊である。
何故かと言うと香川先生の所に何回も何回も通わせて頂いて 私の人となりも理解していただいて、やっとこぎつけた「北見昔々」という素晴らしい薯版画の記念品が出来上がったからである。

 43歳で一つの店を任せられ、いろいろ経験を積んだことを今考えると感謝の気持ちで一杯だが、30代後半〜40代にかけては心・技・体のバランスもとれ、行動力もあるので自分の目標にチャレンジするには本当に良い年代だったのだなとつくづく思う。

 「がんばらない」精神の話からちょっと回り道をしたが、鎌田先生の活動は大変幅広くNHKのラジオから地域医療体制の確立など多岐に亘る。チェルノブイリの放射能汚染地域の子供たちの命を救う支援活動を始めてから今年でもう15年になるそうだ。また昨年8月にはイラクの白血病の子供たちの救援活動も始められておられる。

 鎌田先生は<命と言うものはかけがえのないもの。環境汚染の現場や戦場の近くまで行って見ると「命・環境・平和」は一つにつながっているということが身に沁みて分かる>ともおっしゃる。ここで考えなければならないことは「自ら考え、事実を掴み、行動する」という姿勢だろう。

 さて、ここでもう一人、信念と行動力で茨の道を切り開いておられる素晴らしい医師、中村哲氏のことを紹介したい。
中村哲医師と初めてお会いしたのが4年前の札幌での講演会、北海道新聞の記事を見て参加してみた。会場には500人ほどの老若男女が集まり、大盛況。淡々と話されてはいたが、アフガニスタンの現状は日本では考えられない程の劣悪な環境下でありその厳しさは全身の皮膚をつらぬきひしひしと伝わってきた。医療活動ばかりでなく、井戸掘りから灌漑設備の整備まで気の遠くなるようなことをもくもくと先頭に立って推進されている姿に触れ、本当に手を合わせたくなった。「日本の2000円はアフガニスタンでは10人家族が一ヶ月暮らせる金額です」。
私は、この話を聞いてから少額ではあるが毎月2000円を中村医師の活動を支えるボランティア団体「ペシャワール会」に寄付を続けている。

 20世紀は病気の研究や医療技術の進歩により、昔なら治せなかった病気も治療できるようになった。それと同時に治療が細分化され効率よく病んでいる臓器だけを診る治療が常識となって、人間を全体で捉える視点を失っているように思う。人の命を救うための科学の進歩が、医療から人間的なあたたかみを奪ってしまったといってもいいのかもしれない。21世紀の医療技術は更に進歩する。それだけにこの点を深く考えなければならない。

鎌田先生は<[命・環境・平和]を主軸にしながら本を読んだり、芝居を観たり、音楽を聴いたり、スキーを楽しんだり・・・・と自分に栄養を与えていっていますと言っておられる。明日のために今日我慢せず、今日も明日もゆっくり歩きたい・・>ともおっしゃる

「頑張り続けながら<がんばらない>という心をちゃんと持っている」のが鎌田先生の生活の極意なのだろう。少しでも見習って生きて行きたい。
最後に、前編そして後編と、お読みいただいた皆さんには、感謝申しあげます。
2005年11月9日脱稿

筆者の勤務先・札幌ビズカフェのURLはこちら。
http://www.bizcafe.jp/

■筆者プロフィール
湯谷 偉男さん [NPO法人札幌ビズカフェ・事務総長]
■経歴
昭和12年1月 東京都新宿生まれ
昭和34年3月 早稲田大学政経学部(経済)卒業
昭和34年4月 株式会社東横(現東急百貨店)入社
昭和53年6月 (株)東急百貨店東横店営業第二部長
昭和56年3月 (株)きたみ東急百貨店開店準備室長
北見駅前開発計画を東急グループで取組む
昭和57年8月 (株)きたみ東急百貨店常務取締役店長
昭和62年2月 (株)東急百貨店札幌店 店次長
札幌店の増床計画に参画
平成2年5月 (株)東急百貨店 札幌店長
平成3年4月 (株)東急百貨店 取締役札幌店長
平成13年4月 (株)東急百貨店 取締役退任
平成13年11月 札幌プラザ(株) 常勤監査役
平成14年12月 札幌プラザ(株)東急百貨店に吸収合併のため退職
平成14年9月 酪農学園大学非常勤講師「消費者行動論」講義
平成15年10月 NPO法人「札幌ビズカフェ」事務総長
平成16年9月 北星学園大学非常勤講師[サービス経済論]講義
(現在継続中)
その他の活動 ・「感動創研」代表・「身土不二の会」会長
・NPO法人[ひつじのかい]事務局
※いずれも異業種交流から派生したサークル活動です。

趣 味 クラシック・ギター、ゴルフ、読書
マンドリン・アンサンブル(札幌マンドリン倶楽部所属)

信 条 ・挨拶は大きな声で元気良く・継続は力なり・「徳育」の奨め

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