読書雑感

このコラムは、企業経営者、団体のリーダーなどの方々にご登場をいただき、読書を基本軸に仕事や生活、文化、芸術、経済、哲学、を語って頂くコラムです。
コンサドーレ札幌を運営する(株)北海道フットボールクラブ代表取締役社長児玉芳明さん「サッカーボールは世界をつなぐ〜2006年W杯ドイツ大会から〜」に続く今回は、
昨年からほぼ1年を経ての小沼肇子さんが「読書雑感」に再登場です。前回は、50才目前の筆者が悪戦苦闘、艱難辛苦の末に大学に再挑戦し、見事に卒業される姿を活写されましたが、今回、お嬢さん自身にわき起こった更なる向学心と母親である筆者とのチョット珍妙ではあるが、それだけに実生活の中で起こった「事実」としての重みを感じさせてくれる物語。前・後編の2回シリーズでお届けいたします。どうぞ、お楽しみ下さい。

■第18回 「再学問ノススメ、再び!(後編)」 筆者:小沼 肇子さん

生活設計アドバイザー 小沼 肇子

晴天のヘキレキとはこのことだ。人様に「再学問」など勧めてきた私が、我が娘にこう切り出されて、うろたえようとは!

そう言えば、会社を辞めて大学に入り直したいと言う話は、数年前、何度か彼女から聞いていた。

その度に「お局様(おつぼねさま)はどの会社にもいる。自分で食べられること以上に立派なことはない。今さら勉強してどうしようというの!」。外に言うのと、家で言うことが違うのは、世の親の常。

そんな母親を横目に、彼女は会社が引けてから、夜には予備校へ通い、英語、数学に取り組み、着た切り雀(表現がふるい!)で押し通し、せっせと貯金に励み、親に隠れて受験すること二度三度。

すっかり諦めたものと思い込んだ母が、「ナニッ!!」の連発になるわけだ。

さて、その彼女のめざす「学問」だが、東京での勤務中に出会った、ロボット工学からアプローチして「義肢装具士」になるという夢。

今や、障害者が、ヒマラヤにも登る、トライアスロンにも出場するという時代。その人の生きるクオリティをサポートしたい、という思いが彼女を突き動かし、頑迷な母親に示した静かな抵抗。

そこで彼女が得た喜びは、回り道をした末に出会った、自分にとっての大切な「実学」と向き合える幸せであった。大学での一分一秒が、かけがえのない楽しみであるという。自分が働いて貯めたお金で学ぶことが、その価値を倍増しているのだろう。

卒業して資格を取り仕事として成り立ち、身を養い、加えて、人様のお役に立てるには、まだまだ遠い道のりが待っている。

少しは人生を知っている私には、先回りして言いたいことは多々あるが、ここは言わずにおこう。「再学問」の緒についた彼女のこれからに何が待っているのだろうか・・・?

かくして、金も出さずに、勝手にその楽しみを共有したいともくろむ母は、にわか勉強であらゆる福祉関係本を読みあさる毎日。そこには、正直、今まで興味のなかった分野に感動の物語の数々が。
ああ、曇れる母の目から、塵芥(ちりあくた)を洗い落としてくれた娘に感謝。皆さんには、数多く読んだ著作の中でもとりわけ感動したこの一冊を是非推薦いたします。あなた方の人生の転機はいつ訪れるかも分からないから。(完)

2006年8月23日脱稿

◎「義足のランナー ホノルルマラソン42.195kmへの挑戦」
 島袋 勉 栗田知美 著 文芸社刊

<成年後見法を考える>
生活設計アドバイザ-小沼肇子事務所のホ-ムペ-ジをご覧下さい。
アドレスは http://www.rak3.jp/home/user/0316/


■筆者プロフィール
小沼 肇子( こぬま けいこ )さん [ 生活設計アドバイザ- ]
昭和21年生まれ。 札幌市立旭ケ丘高校卒業。 藤女子短期大学 国文科卒業
中央大学 法学部卒業。 北海道銀行、北海道ロ-ン保証(株)勤務。
北海道新聞「朝の食卓」執筆。 ラジオ・テレビのコメンテ-タ-など。
前北海道文化放送番組審議委員長。

■現在
生活設計アドバイザ-小沼肇子事務所 主宰
生活相談を受付けるかたわら、講演を中心に活動
講演
「小沼肇子の再出発講座」「再学問ノススメ」「成年後見法」
「北海道の 女性たち」「メデイア・リテラシ-」「中高年の生き方」
「あなたも講師になれる」」「家庭生活の知恵」「北海道農業者の魅力」他多数

■公職
・札幌家庭裁判所家事調停委員
・人権擁護委員
・北海道精神医療審査会委員

■現在の関心事
「札幌後見支援の会」理事として、成年後見法の研究と実践に、力を注ぐ。「日本成年後見法学会」所属
健康・生きがいづくりアドバイザ-(厚生労働省外郭団体認定資格)として、中高年の生き方をサポ-ト FM放送でも活動

■趣味
・海外旅行。画材を求めて世界20数カ国を旅行
・写真。二人の孫を写すのが何よりの楽しみ。

上へ移動↑