深紅の旗は我にあり 香田誉士史監督と駒大苫小牧高校野球部の10年間の歩みです。
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書籍:深紅の旗は我にあり 平成16年8月夏の甲子園球場は歓喜と感動の嵐に包まれていた。深紅の優勝旗が初めて津軽海峡を渡った瞬間だった。
著者の蔵重さんは、青年監督として香田監督が苫小牧へ赴任して以来今日まで公私ともに監督を支え野球部を応援されて来られた方です。感動の夏の甲子園初優勝を機会に、平成17年7月に香田監督と野球部の10年の歩みを一冊の本として上梓されました。非売品であり書店ではお求めできませんが、苫小牧駒澤大学のWebサイトで毎月連載としてお楽しみ頂けることになりました。
■第6回 成長の跡がうかがえた九州遠征  著者: 蔵重 俊男
 1997(平成9)年の遠征も昨年同様に佐賀で数試合をこなしてきた。築陽学園、長崎日大、杵島商業、佐賀龍谷、長崎海星、有田工業と、名だたるチームとの連戦をこなし春季大会に備えてゆく。勝ち負けは別として8名の投手を各試合で出場させ、昨年を上回る結果に、当時の父母の会橋本全郎会長も手放しで喜びを表していた。北海道はまさに雪との戦いになるが遠征から帰るまでの間グラウンドの雪は徐々に解けはじめ、マウンドの上から次第に黒土が芽を出してくる。

 「雨よ降れ」とこの時期は雨乞いをして雪解けを待ち望んでいた。一雨ごとに春を待ちわびながら遠征から帰ってくるまでの間なんとかしなければと父母の協力を得ながらグラウンドを使える準備をしていた。父母の会も子供達の喜ぶ顔が見たい一心である。

 グラウンドの状態を見ると隣の少年野球場はどんどん解けていくのに一向に駒澤グラウンドは解けていかない。原因は単純なことであった。雪の多い雪上でのサッカーやノックにより雪が踏みつけられて圧雪というよりも氷の塊になっていることと、黒土の量が極端に少ないグラウンドが原因している。時々氷を割って顔を出す黒土は一度解け出すとみるみる水溜りができていく。大量の塩カリを蒔いたり黒土をかけたり最初の頃は色んなことをやった。あまりにもひどい大雪の年には新山繁氏にお願いをして、ショベルカーで雪をかき出してもらったり氷を割ってもらったりしたことも2年ほど続いた。父母の会の方々は皆協力者である。

 春先の暖かい日が数日間続くと3月中旬くらいには内野のノックくらいできるようになるが、大雪の年には4月の初めまでつかえないこともあった。ある日私は、実家の工場から1台の軽トラックを格安でゆずり受けた。当時は山本勉部長だったので部長名義にしてもらい、グラウンド整備用に使うようになった。軽いこともあって春先のやわらかいグラウンドの整備にはもってこいであった。ところが後々、子供達の話によると監督のオモチャになっているとの噂があり、行ってみると念入りに軽トラでグラウンド整備をしている監督の姿があった。よっぽど嬉しかったのであろう。練習試合の合間はすばやく整備すれば、次の試合にとりかかれることができたからだ。それ以上に、いつかは、円山球場で使っているようなミニトラクターが購入出来る日が来ればと思った。

 当時の山本部長は石塚部長からの引き継ぎで春先から毎日グラウンドの周りの掃除をして歩く人で監督は「そんなことをしなくていいですから」といっても「はいはい」と返事をするだけで、黙々と草とりや花壇の整理までやってしまう人だった。そのせいかグラウンド周りがいつもキレイでゴミが落ちていることはなかった。子供達もそれを見てゴミが落ちていればポケットにゴミを入れる姿はごく自然に見えた。練習試合の審判も山本部長が精力的におこない、常に冷静で人間的にも立派な野球部長であり素晴らしい人格者であった。

 今でも当時の卒業生達は山本先生のおかげで野球以外のいろいろなことを教わったとも話している。香田監督の若さと山本部長の二人はなかなかのコンビであった。こうした周りの整理と春先のグラウンドコンディション作りでようやくきついノックも出来るようになる。梶川氏が懇意にしている(株)苫重建設の櫻田社長にお願いして毎年大掛かりな土慣らしを内外野にわたってやっていただいていた。後はラインを引いて、毎年良いコンディションになったと関心しながら、私はこの1年間ケガのないようにと内外野に清めの塩を蒔いて歩く。儀式らしい事も終わり後はグラウンドいっぱいに飛び回ってもらうだけだ。 ・・甲子園への道のりは遠く険しい。全26回シリーズ。さらに物語はつづく・・どうぞ次回もおたのしみに!
■筆者プロフィール
氏  名 蔵重 俊男
住  所 苫小牧市新明町4丁目20番13号
連 絡 先 0144-55-5069
生年月日 昭和25年6月20日【55歳】
出  身 厚真町
厚真中央小学校・厚真中学校・苫小牧工業高校・昭和44年卒業
大昭和製紙(株)本社鈴川工場(S44年4月〜47年12月)
蔵重自動車(S48年1月〜59年12月)
苫小牧スバル自動車(株)【(現)北海道スバル(株)苫小牧西店】(S60年1月〜現在に至る)
趣  味 野球鑑賞・少年野球指導者・少林寺拳法
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