深紅の旗は我にあり 香田誉士史監督と駒大苫小牧高校野球部の10年間の歩みです。
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書籍:深紅の旗は我にあり 平成16年8月夏の甲子園球場は歓喜と感動の嵐に包まれていた。深紅の優勝旗が初めて津軽海峡を渡った瞬間だった。
著者の蔵重さんは、青年監督として香田監督が苫小牧へ赴任して以来今日まで公私ともに監督を支え野球部を応援されて来られた方です。感動の夏の甲子園初優勝を機会に、平成17年7月に香田監督と野球部の10年の歩みを一冊の本として上梓されました。非売品であり書店ではお求めできませんが、苫小牧駒澤大学のWebサイトで毎月連載としてお楽しみ頂けることになりました。

■第24回 第77回選抜大会               著者: 蔵重 俊男

第77回選抜甲子園大会抽選は誰もが予想しなかったことが起こった。こんな事があって良いのだろうかと私自身も思った。77回大会は、やはり「7」「7」はラッキーな数字なのかもしれない。開会式後の第1試合それも選手宣誓のおまけ付きである。その日は、後援会の集まりで寄付集めの状況報告をしている時に、監督から電話が入り耳を疑った。「南から順番に引いていった最後の封筒の中に選手宣誓の大役が回ってきまして・・・・・・」と聞いた途端、私も思わず、まさに「残り物に福ありだね」と話し二人で大笑いをした。まだまだ、駒大苫小牧に「運」が宿っている感じがしてならなかったのは監督も同じであった。開会式当日、嫌な雨が降り注ぎ、開会式だけがとり行われ、林キャプテンの選手宣誓は心に染みわたるような朗読で、今までにない新鮮さと、素晴らしい語りであった。

全文、宣誓「この世に生を受け、十数年生きてきた中で夢を実現させようとし、一生懸命立ち向かうこと、そこに僕たちの人生があることに気がつきました。僕たちのために、多くの方が見守ってくださったことも知りました。ここまで成長させていただき、支えてくださった皆さん、ありがとうございます。今、高校野球って素晴らしいということを実感しながら、感謝と一生懸命を胸に、甲子園という夢の舞台に挑むことをここに宣誓します」

平成17年3月23日 駒澤大学付属苫小牧高等学校 野球部 林裕也で締めくくった。

翌日、スライド登板の田中が先発でリズムを作っていく。いよいよ初戦は九州代表の戸畑戦、両投手の味のあるピッチングで回を重ねる度にゲームが締まっていく。前半で林の適時打で先制し、2−1で接戦を制した。2年前の藤代戦、接戦で1−2の惜敗が思い出された。先輩達の思いが2年生の田中を刺激し、140キロを超すストレートとフォークで相手打線をほんろうし、捕手の小山とも息の合ったリズムで勝利に貢献した。選抜1勝が地元出身の田中の好投で勝利したのも、今年の駒大苫小牧の野球はいろんな変化を予想出来そうである。5日空けての2回戦は、1回戦で甲府工を8回の集中打で逆転、勝利した神戸国際大付属との対戦は好投手、大西の前に4回までの五つの四死球を生かせず、無安打が続いていった。12個の三振を喫して後半も荒れ気味のボールを捉える事が出来ず、最終回、先頭バッターの辻が左前に初ヒットを打ち胸をなでおろした。3番青地、4番本間と繋いで1死2塁3塁としたが、後続が絶たれた。しかしながら、6回から登板した田中は145キロの自己最速をマークして結果を出したのが何よりの救いだ。先発の松橋、吉岡と今の力はこんなものと、もう一度、奮起して欲しいし、マウンド上での迫力を感じさせるピッチングを期待したい。

この時、野球部長として6年間監督を補佐して子供達に助言してきた江口部長が敗戦と共に、野球部を去る事になった。監督が来て初めての甲子園出場には、心労で倒れたこともあり、吐血し心配した時期もあったが、気力でその後もナインに暗示をかけまくり、そうした印象を子供達にいつも与えていたようだ。夏の選手権3回、選抜2回の出場で、篠原学校長の眼力が、強運の江口部長を抜擢した意味が、よく理解出来た。林主将を中心に夏、もう一度来ることを誓い合って誰しも甲子園の土は持って帰らなかった事を聞き、そうした気持ちで夏の選手権では、再び甲子園旋風を起こして欲しいと思い、それが退職していく江口部長への感謝のはなむけになると思う。甲子園から帰った数日後、監督から「残念ながら負けました。すみません」との電話が入った。昨年の夏以来バーンアウトしたのは3年生だけでなく野球部全体が精神的にも追いつめられていたように思っていた。監督も「春休みなので少し多めの休みをやって、また一からの出直しです」としっかりした口調で話していたので安心した。今年は40名と言う新入部員を迎え入れ、総勢95名になる。3年間しっかりと、香田野球を教わって精神的にも逞しい子供達に育って欲しいと願っている。年々、入部してくる子供達の考えや、父母の会の方々も様変わりしていく中で、どんどん環境が整備され、素晴らしい環境の中でプレー出来る事が、果たして本当に幸せなのだろうか?と時々思う事がある。

=全26回シリーズ。まだまだ続く・・・=

■筆者プロフィール
氏  名 蔵重 俊男
住  所 苫小牧市新明町4丁目20番13号
連 絡 先 0144-55-5069
生年月日 昭和25年6月20日【55歳】
出  身 厚真町
厚真中央小学校・厚真中学校・苫小牧工業高校・昭和44年卒業
大昭和製紙(株)本社鈴川工場(S44年4月〜47年12月)
蔵重自動車(S48年1月〜59年12月)
苫小牧スバル自動車(株)【(現)北海道スバル(株)苫小牧西店】(S60年1月〜現在に至る)
趣  味 野球鑑賞・少年野球指導者・少林寺拳法
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