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・=ぶつかった方が、いいよ。=「五刻豊穣記」さかざき君のコラム
・=ぶつかった方が、いいよ。=「五匹の猿を退治しろ!」うずまさ君のコラム


“強くなくては生きていけない、優しくなくては生きている資格はない”
どこかで目にし、耳にしたちょっと有名なセリフです。
心のビタミン・コラムは、中学生、高校生、大学生の諸君には、これからのキミの生きていく未来を考えるきっかけに。
すでに社会に出て活躍されている方、あるいは多少失意の中にある方には、もう一度、自分を考えてみる端緒に。
そして、長い間会社や社会につくされ、おおいなる安息の日々を過ごされている方には、来し方に思いを馳せ、より良き明日の活力にして頂ければと念じて、連載いたします。隔月で交互にお楽しみいただけます。

五刻豊穣記

■其の四「老年の刻」 さかざき けんじろう

阪崎 健治朗 先日ぼくの友人が「無料パス、もらって悲し古希の人」という川柳を送ってきました。とうとう70歳になったかと思っていたら、コラムのテーマに「老年の刻」というお題を頂戴して何か書くようにとお達しが来て書き始めた所、そう言えば、ぼくも今年の末には70歳になるのだと気が付いた。人のことなど言っている場合ではないぞ! そう考えると、ぼくの人生『残りわずか』なのか『まだまだある』のか少々考える時間を持つ必要が出てきたような気がしてきました。

  「年寄りを大事にしなきゃいかんよ」などと若い者に言い聞かせていたぼくなのだが、実は、まだ大事にしてもらう年寄りの中に自分を加えていなかったのですね。 オレはまだ若いものには負けるものか、と。 しかし昨今の自分の日常生活の体たらくを考えてみると、「無料パスの人」よりも厚かましい年老いた人間になってしまったような寂しい思いに落ち込むことさえ、時にはあるのです。

 年を取るって一体なんだ。 一つ一つ自分にあるものを剥ぎ取っていくようなものか。恥じらいをなくし、他人の目も気にせず、どう見てもセンスのない服装で、貧疎ななりをして平気で街を歩き回ったり、一番嫌いなカラスに餌をやるようなおろかな振る舞いにまったく気づかなくなることなのか。これじゃ誰だって近寄って話しかけようとする気にはなれませんよね。 まあ法的にはいろいろ世間様にはお世話になってありがたいこともあるけれど、社会は堂々たる立派な大人扱いせず、いささか世間のお邪魔虫のような風潮が出てきたように思うのですが、どうでしょう。

 そんな風に愚痴をこぼしてしているお年寄りは嫌われますよ、と忠告を受けそうなので、ぼくは年は年として受け入れ、自分がこれからどうしたいのだ、としばし腕を組んで考えてみたのです。そこでハタと気が付きあることを始めることにしたのです。
それは美術ボランティア活動なのです。なんだ、そんなことか、と夢々侮ってはいけません。もっとも現在ぼくは研修中の身、できるのかどうかは専門家が決めることなので今は不明だが、とにかくこの年になって猛勉強をしているのである。 確かぼくが一番年上だと思うのだが、これがちっとも優しく可愛がってくれない。それどころか手厳しい批評を一番多く受けて取り組んでいる。だが、負けてはいませんから。ただし、陰で何を言われているかは・・・。でも年令による特別扱いを受けていないことは、ぼくにとって嬉しくもあります。

 まあ、しかしそんなことはどうでもいいのです。少し自分には背伸びをしなければできないかなと思うようなことにあえて挑戦しているのです。 毎週の学習が単なる美術の範囲にとどまらず、作者の思想、心情、製作意図、他人の評論、社会背景、その周囲の関係、そしてそれが今日どうつながってきているか、などどんどん学習の幅が広がっていくのがとても楽しいのです。今まで気がつかなかった思いも寄らぬことなどを吸収していく楽しさがそこにはあるのです。そうなると、この学習はこれから何をしたいか思案する日々ではなく、新しいものへの挑戦と出会いをもっと深めようとする意欲を一層掻き立ててくれる楽しく充実した私だけの時間になるのです。

 この原稿が出る頃には、晴れて美術ボランティアの認定証をもらっているか、はたまた追試を受けて嘆いているかは判りませんが、これまで自分の中でいつの間にか古希を忘れ、年下の人と楽しい時を過ごし、ちょっとスマートでキザであっても、少しでも若者たちと歩調を合わせられるよう愉快な努力や失敗もしてきましたが、美術ボランティアの活動をしている自分の姿を想像すると、これからはもっと楽しく、昨日迄とちょっと違う人生を送れるような気がしてきて自然と笑みが浮かんでくるのです。

 ぼくの今後ですが、いつまでも“ VIVA ! ”(イタリア語で万歳“やったぜ”)でいたいと願っています。そして“私の辞書には「年寄りの冷や水」という言葉はない”と、思っています。いくつになっても挑戦は楽しい自分だけの時間なのです。


不安や悩みは人を大きくすることがあります。気持ちを奮い立たせて問題に立ち向かい行動するとき、また新たな人生が開けます。それは小さな一歩でも大きな意味を持つ。
筆者のHPには、考えさせられるコラムや筆者が描いたステキな絵もあります。こちらからどうぞ。

阪崎健治朗HP http://www16.ocn.ne.jp/~com212/


■筆者プロフィール
阪崎 健治朗 SAKAZAKI KENJIROU
生年月日: 1935年(昭和10) 12月25日
学歴: 日本大学文理学部英文科(通信)卒業
職歴: 中学校教諭を経て、神戸・北九州・富山・日本YMCA同盟北海道の各YMCA勤務。その他、大学の講師として「集団組織論」、「基礎作業学レクリエーション演習」、「国際ボランティア論」、「国際関係論・国際交流論」等を担当。
社会活歴: 人間講座主宰(ロビンソンデパート)
研修歴: 感受性訓練(JICE)、交流分析(TAT)受講。
著作: 「職業と人間形成」(共著)(日本YMCA同盟出版)
「神戸とYMCA百年」(神戸YMCA)
「ボランティア論」(青葉書店)
「国債理解 重要基礎用語300」(共著)(明治図書)

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