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「五刻豊穣記」「3ミリメートルの悦楽」「恐竜の虫めがね」に続く、さかざき君の新シリーズ4が始まりました。複雑に入り組んだ現代社会の迷路の中で、ともすると迷子になってしまいそうな個人。より大きな、更にもっと大きな幸福や満足を貪欲に求める社会の風潮に、筆者は幸せの大小をもう一度考えてみるのです。今シリーズも「考える手紙」がテーマ。どうか読者の皆さんにも一緒に考えていただきたいと思います。悩みながらもしっかりと前進する高校生、大学生、社会人のみなさんにとって新シリーズが“明日の自分を考える”きっかけになればと思います。隔月掲載の6回シリーズ、どうぞお楽しみに。

蟻たちの幸福な足音

■5.小さないのちの灯火をともそう さかざき けんじろう

阪崎 健治朗

札幌から旭川方面に向かって列車で約1時間、滝川という駅に着きます。都会の喧騒から離れ車窓から眺める風景は、次第に緑豊かなすがすがしい夏の田園風景に変わっていきます。どこかほっとするようで、こころが和みます。

先日、アジアで最初といわれる小児ガンや難病の子どもたち専用のキャンプ場へ視察に行って きました。滝川駅からは小さなマイクロバスに乗っておよそ30分程度で高台にある現地に着きました。なだらかな勾配の丘陵地で丸加高原といい、わずか300mほどの標高でしかありませんが、 それでも高台に上ると美しい稜線を描く暑寒別岳連山のパノラマが見え、その麓から下に広々した 田園と低い街の風景がみえます。ここは江部乙という小さな農村です。

滝川市は、そこに16ヘクタールの土地を無償提供し、「そらぷちキッズキャンプ」をスタート させたのです。すでに2004年から実験的に難病の子どもたちを集めて楽しい体験をさせているようですが、いろんな施設はまだ建築途上で完成までにはもうしばらくかかるという話でした。

「そらぷち」とはアイヌ語で「滝くだる所」という意味だそうですが、まさに滝川にふさわしい言葉です。

それは一人の小児科医がアメリカのキャンプ場で見た、病を忘れて生き生きと楽しい時間をすごしている小児ガンの子どもの姿に心打たれことに始まります。早速日本に帰ってから関係者と相談し多くの賛同者を得て準備に取りかかり、たちまち多くの医師・看護師、実業界、一般の人からの寄付・募金など集め、その輪が広がっていきました。ですが、善意の輪はまだまだ十分ではありません。

日本には多くのキャンプ場が散在して人々は楽しい時間を過ごして貴重な体験をしています。しかしこうした難病や小児ガンを患っている子どもたちは20万人もいるとのことです。子どもたちは病院と家との往復だけで、楽しもうにもさまざまな制限の中で限定されてしまいます。子どもたちに生きる喜びを与えられる方法としてキャンプという豊かな自然に囲まれた環境の中で、思いっきりおいしい空気を吸い、きれいな草花を愛でて、生き物のいのちを大切にする心を養う場にキャンプを選んだのです。

幼くしていのちの灯に不安を抱く子どもたちとそのご家族、友人や知人の思いは計り知れないものがあるはずで、特にお父様やお母様が自分のいのちに代えてでもわが子を守ろうとする深い愛情には、並々ならぬものがあるのではないでしょうか。

アメリカの俳優ポールニューマンが始めたといわれる小児ガンのキャンプ場はすでにイギリスやアフリカにはあるそうですが、アジアにはまだないのです。北海道滝川市に誕生したのは誇りある貢献で、なんとしてでも子どもたちが「生きていてよかった」「もっと生きたい」、そして「希望を抱き続けよう」と、ひしひしと感じ取れるような活動を広げたいものだと、現地を見てそう強く感じました。

では、僕たちは何をすることができるか考えてみてください。あなたが毎月500円を1年間貯め、 友人にも声をかけて互いに500円ずつでも集める運動をしたら100人も集まれば、いくらになると思います? 運動というのはそういうことを続けることなのです。また、実際に「そらぷちキッズキャンプ」にボランティアとして参加してみることも一つの大きな意味ある行為です。会員として登録することもできるようです。

思い立ったら、糸口になる何かを始めることが重要です。何事も第一歩を踏み出さないと前に歩むことができません。

まずは電話をかけてみてはいかがでしょう、あなたの善意を子供たちに届けるために。インターネットにも沢山の声と活動の紹介が載っていますよ。

阪崎健治朗HP http://www16.ocn.ne.jp/~com212/

■筆者プロフィール
阪崎 健治朗 SAKAZAKI KENJIROU
生年月日: 1935年(昭和10) 12月25日
学歴: 日本大学文理学部英文科(通信)卒業
職歴: 中学校教諭を経て、神戸・北九州・富山・日本YMCA同盟北海道の各YMCA勤務。その他、大学の講師として「集団組織論」、「基礎作業学レクリエーション演習」、「国際ボランティア論」、「国際関係論・国際交流論」等を担当。
社会活歴: 人間講座主宰(ロビンソンデパート)
研修歴: 感受性訓練(JICE)、交流分析(TAT)受講。
著作: 「職業と人間形成」(共著)(日本YMCA同盟出版)
「神戸とYMCA百年」(神戸YMCA)
「ボランティア論」(青葉書店)
「国債理解 重要基礎用語300」(共著)(明治図書)

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