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「五匹の猿を退治しろ!」に続き、この新シリーズは月1回でスタート致します。
軽妙洒脱な文体は、更に「うずまさ一刀流?」の鋭さを増し、すっと軽く読めるがズシリと心に響く。日々の暮らしに目を向け考え悩み前進する高校生、大学生、社会人のみなさんを暖かいまなざしで叱咤激励するシリーズです。ここには社会生活をする上でのさまざまな知恵がギッシリと埋まっています。お楽しみに。

犬の遠吠えねずみ鳴き

■巻の11「 羊の看板ならジンギスカン 」  うずまさ やすのり

太秦 康紀

人間は誰でも自分をよく見せたいと思うものだ。たまにはそう思わない人もいるかもしれないが、そういう人はどちらかと言えば変わり者。自分をよく見せたいと思うのは、動物の本能のようなものだと思う。孔雀が羽を広げるのは雌をひきつけるため、襟巻きトカゲが襟を広げるのは自分を強そうに見せるためだろう。動物の雄は子孫を残さなければならない。そのためには生存競争に勝って雌を惹きつけなければならない。動物の場合、大体雄の方が立派なたてがみを持っていたり、綺麗な色彩の羽を持っていたりするのも、そういう目的があるからだろう。

人間の場合、一般に着飾って異性を惹きつけようとするのは女性の方だ。一方男の方もたてがみを持っていたりはしないが、たくましい肉体を持っていたり、髭を生やしたりするのは、やはり異性を惹きつける動物の名残かもしれない。

ボクのように貧弱な肉体で、髭も薄いとなると、動物なら雌も相手にしてくれないだろうが、そこはよくしたもので人間には肉体以外に人を惹きつける要素がいろいろある。体が大きいばかりでは、「大男、総身に知恵が回りかね」などと言ってかえって馬鹿にされたりするのである。

人を惹きつける大きな要素の一つとして「自信」というものがある。自分に自信のある人は、ある種のオーラを出しており異性に限らず人を惹きつける。「あの人は自信家だ」とか言われ、「自信満々」という言葉もあるが、自分に自信のある人は自然に態度も堂々としてくるものだ。反対に自信のない人は、見るからにしょぼしょぼした外見に見える。「自信」は「ゆとり」を生む。自信を持っている人が、堂々として見えるのは、ゆとりがあるせいでもある。自信があって、その結果ゆとりのある人は周囲に優しくなる。この優しさはへなへなした優しさではなくて、魅力ある優しさである。自信家と言われる人で、威張りかえっている人もいるが、あれは本当は自信のない人で、虚勢を張っているに過ぎないのだとボクは思う。

札幌でいえば薄野などのネオン街で、ホステスなどに矢鱈に威張る人がいる。こういう人は本来全然もてないのだが、それなりの地位にいたり、金を持っていたりするので、ホステスたちは仕方なくチヤホヤする。ご本人はもてているつもりで益々威張りかえるのだが、あれは金や地位に周囲が媚びているだけの話で、本当は唾をかけたいほど嫌われていることに気がつかないのである。本当に自信のある人は、ホステスにもお掃除のおばさんにも優しいからもてるのである。女性は頼りになって、優しくて、適度にユーモアのある人が好きなのである。

自信は一つのことに秀でていることから生まれる。何も裏づけなしでは自信は生まれて来ないのである。だから、自信を持つためには他人を「うーん」と唸らせるものを身につけていなければならない。もちろんそれは一朝一夕では身につかない。少なくとも「自信」といえるほどになるには、かなりの時間と努力が必要なのだ。最近の若い人は「自己実現」したいなどと簡単に言う。これも同じで、自己を実現したければ、長年の修練によって実現すべき自己を創り上げなければいけない。だから「自己実現」と言えるまでになるのは、頭抜けた才能に恵まれた少数の人以外は、かなりの年配に達しないと無理なのである。凡庸なその他大勢は、いくつになっても自己実現など出来ないと知るべきである。

「羊頭を掲げて狗肉(くにく)を売る」という諺を聞いたことがあるだろう。店頭に羊の頭を看板としてぶら下げ、実は犬の肉をごまかして売ることで、つまり看板にいつわりのあることだ。見かけはいいが、実質がそれにそぐわないこと、外見やふれこみばかりを立派にして、その実が伴わないことの例えである。略して「羊頭狗肉」ともいう。外見が立派だったり、名刺の肩書きが立派で、内容の伴っていない「羊頭狗肉人間」は結構いるものだ。政治家などによくいるが、名刺の名前の字がやたらにでかい人がいる。そういう人は内容がないのに偉そうに見せたい羊頭狗肉人間だから、要注意である。

日本は長い間「年功序列社会」だった。実力がなくても年上の人が上の地位につき、それに伴っていい収入を得るという社会である。こういう社会では早く産まれた方がいいことになるが、今や年功序列社会は崩壊しつつある。実力がものをいう社会になって来たのだ。実力で人を引きつけるものがないと、人の上には立てない時代になって来たのである。常務とか部長とか、肩書きがあるから偉いのではなくて、人間的にすぐれていないと肩書きがつかない時代である。しかも肩書きなどは住所のようなもので、大事なことは「人間力」が人を引きつけ、人の上に立たせるということだ。人間力は人より優れるものを持ち、自信のある人でないと備わらない。もちろん人柄が悪くては話にならない。いくら羊の看板を掲げても、実態が犬では駄目なのである。ごまかしの効かない時代、そんな時代に対応するためにも、まず自分を磨き自信のある人間を目指そうではないか。


▼ お知らせ ▼

筆者:太秦康紀さんは、昨年11月に3冊目となる本を出版しました。新風舎文庫「さらりー漫歩」。全国の書店で発売中です。
サラリーマンの喜び悩み、そして生きてゆく知恵と勇気、行動をユーモラスに鋭く描いております。ご自身の体験が底流に流れていますので、一種のドキュメンタリー作品としての側面も持っています。
札幌紀伊国屋書店の「話題の本」「新刊本」のコーナーに置かれています。またHBCラジオや読売新聞などですでに紹介されておりますので、一度手にとってご覧下さい。

「さらりー漫歩」著者::太秦康紀さん
「さらりー漫歩」
定価700円
(新風舎文庫)

太秦康紀HP http://www.rak3.jp/home/user/monkey69/

■筆者プロフィール
太秦 康紀 UZUMASA YASUNORI
1935年02月: サッポロで生まれる。
1958年03月: 北大法学部を卒業、4月に北海道銀行へ入行。
約28年間の銀行員生活を経て、1985年11月同行退職。
1985年11月: 医薬品問屋、(株)寿原薬粧の社長に就任。
1991年04月: 同業7社の合併によって誕生した(株)バレオの副社長に就任。
1996年06月: 同社常勤監査役に就任。
1999年04月: 再度の合併で社名は(株)ほくやくとなり、引き続き監査役。
2000年06月: (株)ほくやく監査役を退任。
2000年08月: 太秦事務所を設立、所長となる(経営コンサルタントを自称)

著作: ・しなやか散歩道(1995年2月 近代文芸社)
・しなやかれすとらん(2003年4月 北海道新聞社出版局)
・北海道新聞「朝の食卓」1998〜99年執筆
・さらりー漫歩(2005年11月 新風舎文庫)
その他: 家庭裁判所家事調停委員、(株)スハラ食品監査役
(株)芭里絵監査役などを勤めた。現在はTVコメンテーター、FMパーソナリティ、講演、文筆など気ままに活動中。
血液型 AB型、星座 うお座(たまにみずがめ座)、動物占いでは落ち着きのない猿。趣味は、映画鑑賞 格闘技鑑賞 ゴルフなど

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